どうして高血糖のときに運動をすると危険なの?

糖尿病

高血糖で運動をしてはいけない理由がわからない人「血糖値が高すぎるときに運動をしてはいけないって聞いたんですけど、血糖が高いってことは血液の中にエネルギーがいっぱいあるってことですよね?それじゃあ運動したっていいと思うんですよ…。ちゃんと説明してくれないとわからないんですよ!」

 

 

このような疑問にこたえていきます。

 

✔本記事の内容

・どうして高血糖になるのか
・高血糖のときに細胞はどんな気持ちでいるか
・高血糖で運動を続けるとどうなるか

 

低血糖はエネルギーが不足している状態で大変危険なわけですが、高血糖のリスクってあまり注目していない人が多いように感じます。教科書にも血糖値が250㎎/dL以上の場合は運動をしないようにと記載されていますが、その理由までは載っていないことがほとんどです。

教科書を書いた方にとっては当たり前なので記載するほどのことではないのでしょうが、馴染みのない方はどうして高血糖がリスクなの?と理解が難しい場合があります。

この記事では高血糖状態で運動することのリスクについて、医療従事者ではない一般の方に理解していただけるように記載していきます。

 

どうして高血糖になるのか

 

「血糖値が上がるのは糖質を食べたからでしょ」と言われるとその通りですが、高血糖になるにはその背景があります。

それは高血糖の場合、血液から栄養をもらうはずの細胞たちは飢餓状態にあるということです。

血糖を細胞に運び、エネルギーとして活用するための主要なルートを握っているのはインスリンというホルモンです。

糖尿病が進行すると、人工的に作り出したインスリン製剤で注射をうつ場合がありますが、本来インスリンは体内で作られてエネルギーを消費する(血糖値を下げる)ように促すはたらきがあります。

高血糖になる人の多くは、このインスリンの効きが悪い状態であったり、インスリンを出せる量が少なくなっていたりします。

その結果、血糖値が高くなってしまいます。

 

高血糖のときに細胞はどんな気持ちでいるか

 

高血糖のときでも細胞の中は飢餓状態です。すぐそこに栄養がたくさんあるのに手元まで届かない陸の孤島状態です。

近くの大都市から大きな幹線道路が走っていて、すぐそこまで食料が来ているのに、幹線道路から自宅までの通行手段がないため手元には届きません。「こっちだ!おーい食料を届けてくれ!」と細胞は声を上げます。

すると食料が足りないと聞いた善意ある人々が、大都市から大量の食糧を送ってくれました。そうして幹線道路にたまっている食料は増えましたが、やはり手元に食料は届きません。これが高血糖のときの細胞の状態です。

そして「やむを得ない…。」と細胞は普段食べない食料に手を出したのでした。

 

高血糖で運動を続けるとどうなるか

 

糖を届けてもらえなくなった細胞は、脂質に手を出します。細胞はエネルギーを産生しなければならないので背に腹は代えられません。

脂質系の代謝経路では代謝の副産物としてケトン体が生まれます。ケトン体が生まれること自体は問題ではありませんが、ケトン体が酸性の物質である点が問題となる場合があります。

ケトン体が体の中にたまると、血液が酸性となってしまうからです。血液の酸性・アルカリ性のバランスは、体の状態を維持するための最優先事項のひとつであり、極めて厳しくコントロールされています。

血液が酸性になることの恐ろしさについては改めて別の記事にまとめたいと思います。

 

高血糖状態における運動とは、このように陸の孤島状態である細胞に対してムチを振るって強制的に働かせようとしている行為です。とくに尿ケトンが陽性の場合には注意しましょう。

一方で高血糖だから寝たきりでいるべきだという話ではないので誤解しないようにお願いします。高血糖の状態において、心拍数を上げたり汗をかくような活動をあえて積極的に行うべきではないという話です。

みなさん、高血糖に気をつけながらぜひ安全に運動を継続してくださいね!

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